高校生が不登校になるとどうなるのか?素朴な疑問のあれこれ!
現在、高校への進学率は97%を超えており、高校への進学・卒業はいまや当たり前な時代となりました。しかし、高校生の不登校は決して珍しいわけではありません。
政府統計の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(2016年)では、高校生の不登校を含む長期欠席者の割合は2.4%。これは、40人のクラスあたり、約1人不登校の生徒がいるという計算になります。
高校は義務教育ではないので、進級や卒業のためには単位の取得が必要です。では、不登校になった生徒は、その後一体どうなってしまうのでしょうか?
全日制高校で不登校になる生徒はどのくらい?
学校によって差がありますが、だいたい1クラスに一人、不登校の生徒がいると言われています。まったくいない、というクラスはむしろ珍しいほどです。
1年間にどれくらい休むと留年になってしまうの?
全日制の高校では、1つの教科につき3分の1以上の欠席で単位不認定となります。例えば、72時間の授業時間が設定された科目だったら、23時間以内までは休んでも単位を取得できますが、36時間しか授業時間がない科目だと、12時間以上休んでしまうと単位不認定となり、留年ということになってしまいます。多くの全日制高校は学年制なので、学年ごとで取得する単位が決まっているところがほとんどです。よって、その単位を落としてしまうことで、また1年間やり直して取ることになってしまいます。
ただし例外もあり、選択履修科目のように4つの科目のうち2科目の単位を取得していれば可、というような場合は、3科目分の単位を取得できなくても進級は可能です。
出席日数が足りない場合は?
全日制高校は、出席日数のチェックが厳しい学校が多いので、出席日数が少ない場合でも、補講などでの対応はあまり期待できません。しかし、出席日数が足りていればテストの点数が赤点(30点以下)でも、課題の提出や補講等で学校がフォローしてくれる場合は多い様です。
登校はしているが、保健室や別室登校となっている場合も残念ながら単位は認められません。
留年が確定してしまったら
残念ながら出席日数が足りなくなり、留年が決まってしまった。でも留年するのは嫌だ、となった場合。
大学の付属高校ではそのまま留年する人も多いようですが、そうでない場合は中退や転校をする生徒がほとんどです。学校側も、出席日数が足りなくなってきた時点で生徒やその親に声がけをしてフォローはしますが、やはり単位が取れないと留年になってしまうので、結果的に中退もしくは転校する生徒が多いようです。
全日制の高校へ転校するのは難しいのか?
全日制高校間の転校にはハードルが3つあります。
1つ目は編入試験に合格しないといけないということです。編入試験では、国語、数学、英語などの主要教科の試験及び面接試験が必要だったり、申込み期間があらかじめ決まっていたりするので、タイミングと希望する学校に見合う学力が必要になります。
2つ目は、生徒数の定員がいっぱいの学校には入れないということです。
3つ目は、転校前に修得済みの単位と編入後の学校のカリキュラムの関係で、転校後の学校で卒業に必要な単位を修得することができなければ、出願さえできません。
偏差値や生徒数の部分で妥協すれば、編入できる学校は増えるかもしれませんが、もし前の学校で不登校だったなら、編入後にまた通えなくなると、また留年になることは十分ありえるので、そういった面も考えて通信制高校を選ぶ生徒は多い傾向になります。
通信制高校における在籍生徒の元不登校生の割合は?
学校により差はありますが、不登校が原因で通信制高校に転校してくる生徒は、約50%程度です。
他には、発達障害がある生徒や大学受験に集中したいから、という理由で入ってくる生徒もいます。
全日制から通信制に転入した場合、卒業はいつになるの?
卒業までに必要な単位数と、1年間に取れる単位数はあらかじめ決まっているので、それ次第で卒業時期は決まります。
例えば通信制高校では卒業までに74単位が必要ですが、1年間に取得できる単位が30単位だとすると、2年生になるタイミングで転入する場合は1年生の時点で14単位取得していないと、3年間での卒業は難しくなります。ただし、学校によって一年間に取得できる単位数は異なるので、きちんと確認する必要があります。
最後に
「子どもが不登校になった」と悟った時、親御さんにはさまざまな感情が生まれます。「どうしてたらいいのだろうか・・・」といういいしれぬ不安、「これからどうすればいいのだろう」という疑問、「いままで一生懸命育ててきたのに!」という怒り。ですが、それを直接子どもにぶつけても、決していい結果は生まれません。不登校になったからといって、欠陥があるとか人生終わりということはありません。不登校といっても、ほんのささいなことがきっかけだったり、環境が自分に合わなかっただけのことも多いので、学校を変えて1からやり直すのも一つの有効な手段です。
そして、通信制高校に転校するにしても建物の作りとか校則の有り無し、生徒の雰囲気などそれぞれ特色があるので、実際に自分の目で確かめ、自分に合う学校を選ぶことが必要です。
環境を変えるのはとても勇気がいることですし、上手くやれるのかという不安もあるでしょう。
しかし、転校前は苦しそうな表情だった生徒が、環境が変わって全く違う顔になる場合も珍しくありません。だからまずは、他の選択肢を知ることからはじめてみるのもひとつの有効な方法となるかもしれません。
まとめ
○全日制高校では、1つの教科につき、3分の1以上の欠席で単位不認定となり、結果的に留年となってしまう。
○試験での赤点は課題提出などで進級可能な場合もあるが、出席日数が足りない場合はどうにもならないことが多い。
○全日制の高校へ転校するには、編入試験、生徒の定員、カリキュラムなどのハードルをクリアしなければならない。
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